はぬー

君たちはどう生きるかのはぬーのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

前作『風立ちぬ』が「宮崎駿の遺書」ならば、今作は「宮崎駿の墓跡」であるのかも。
80才超えてこれが作れるのは、本当にバケモノ。
公開日に劇場で見れたことを誇りに思う。
宮崎駿でしか作れなかったのかもしれない。

大枠のストーリーは、和製『ハウルの動く城』。宮崎の描くファンタジーと創作。「産みの苦しみ」を強く感じる傑作だと言える。

意図しているかのように、過去に彼が関わった作品のオマージュが含まれる。
ジブリ時代の作品は勿論だが、東映動画時代の、
『どうぶつ宝島』、『太陽の王子 ホルスの大冒険』や日本アニメーションの『未来少年コナン』のオマージュも見てとれる。
手癖のようなものかと思ったが、意識しないとこの癖は出ないのではないだろうか。パスティーシュのようなもの。

彼は長年、矛盾と戦っていた。
子供は外で遊ぶべきなのに、自分が作るものは子供を室内に留めてしまう。というもの。
彼はジブリの近くに「三匹の熊の家」という保育園を作ったし、ジブリ美術館には子供達が優先して楽しめるよう低い目線の展示を沢山作っている。

その子らは大人になり子をなしまた親になる。
繰り返し、運命に抗えず。また創作をする。

凄まじい。

眞人は宮崎駿の投影であり、彼を唆す青サギは鈴木敏夫なのだ。皮肉だ。

「君たちはどう生きるか」と、投げかけられていた宮崎少年が、我々に「君たちはどう生きるか」と投げかけて、終わる。

ほんとにありがとう。
はぬー

はぬー