ぐっちん

君たちはどう生きるかのぐっちんのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ソラから飛来した知的生命の遺物。
石と呼ばれたそれは生き物のイメージを具現化する力を持っており、同時に知識や知恵を求めていた。
屋敷のそばで石と出会った男は奇遇なことに人類の知識の全てを読み漁ったといえる博識であった。男は石の周りに塔を建造させ、その中で天地創造を実現しようとする。

1日目 神は光と闇をつくられた。
2日目 神は空をつくられた。
3日目 神は大地を作り、海が生まれ、地に植物をはえさせられた。
4日目 神は太陽と月と星をつくられた。
5日目 神は魚と鳥をつくられた。

鳥がリアルで魚が空想であったのは外的要因かも。城の入り口が埋められて鳥だけが内側に迷い込んできていた為。

時代は流れる。
「外の世界」と男の作った「うちの世界」はギャップが埋められなくなっていく。地平線沿いの船達はアップデートされず動力は未だ風で、人々に触れてこなかった為乗組員は皆死体が動かしている。ここまで来て世界を失うわけにはいかず男はこの役目(という思い込み)を子孫に託そうとする。

母ヒミが子供の頃に「うちの世界」が崩壊しているにも関わらず、眞人の元にもう一度完全な形で塔が現れている事からしてもあの世界は4次元の存在。眞人が積み木を手伝っていたらきっと更に下の世代まで巻き込まれていた。ナツコの子であり眞人の弟は彼が守った最初の家族である。

戦後間も無く大人になってゆく眞人は日本を立て直す要となった世代だ。彼らが「外の世界」と向き合い、友達を作り、自分達の力で想いを形にすることを諦めなかったからこそ今日の日本があることは疑いようがない。

ここからは私たちの話。
再び時代は流れインターネットが発展する。
4コマ漫画やエモい恋愛漫画を投稿すれば数万人がいいねをくれ、命を削って作られた映画がそれぞれの家でストリーミングして消費できてしまう時代。
「外の世界」と「うち」で繋がった複雑な世の中で先代のノウハウはもはや通用しない。

どう生きるか

フィルマークスしてる場合じゃねえ
ぐっちん

ぐっちん