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君たちはどう生きるかのkanacoのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.0
★ストーリーの“なぞり”や革新的なネタバレは書いておりませんが、全てを回避したい方はご注意ください。また、辛口ですので本作品やジブリが好きな方、今後鑑賞を予定されている方はご注意をお願いします。

話題の宮崎駿監督の最新作。私自身、スタジオジブリ作品を見るのは『ゲド戦記』を映画館でみた以来の17年振り。…いや、嘘だった。ナウシカを去年の4月に見たのだった😮でもそれ以来です。事前情報を見ずにサブスクを見ることはあっても、事前情報を見ずに映画館に行くのは初めてかも。なんだかドキドキした鑑賞でした😀✨

うーん🙄

すごくジブリっぽい作品だなと思いました。そうして思い出したことは「そういえば、私、昔からジブリ及び宮崎駿作品ってあんまり好きじゃない」ということでした。

ジブリの劇場長編アニメーションは恐らく22作品ほどだと思いますが、そのうち鑑賞したのは14作品。映画館で見たのは『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『ゲド戦記』『風の谷のナウシカ(リバイバル上映)』のみ。

その中で『となりのトトロ』は何度も見るほどに大好き。それ以外の作品は、いつも「本当に見て良かったと思っているけど、正直に言えばハマらなかったな」というところに終着します。

毎作なのですが、鑑賞してもよく分からないのです。ストーリーの道筋ではなく(むしろそれは分かりやすいと思う)、内容が1回ですんなり落ちてこない。難解というよりは必要最低限しか〈説明をしない〉という印象。だから初見で面白いと思ったのか自分が分からない。

それでいつもジブリ作品って〈一見さんお断り〉のジャンルだと思っていました。絵や音楽が美しいのでアート的にみても良いのですが、それにしてはストーリーや〈分からないなりに受け取り様はある〉ため、それに引っ張られて非常にスッキリしない。しかも「ここが私と合わない」など明確に言語化できればそれはそれで自分に落とし込めるのですが、そこまではいけない。そのうち色々な人が絶賛しだして、なんだか孤独を感じるようになってしまう。だから〈映画体験〉として1回は見るのは好きだけど、なんだか苦手だなと思ってしまう(情緒不安定だな😂)。

そして、この作品は具体的には言語化はできませんが、これまでの通りに非常に「ジブリっぽい」と思いました。

ただ、一応念を押しておくと、(いつものジブリ作品鑑賞と同じように)決して退屈はせず、ストーリーも道筋自体は難しくないので、疑問は多くても置いていかれるわけではありません。自然を描くアニメーションは相変わらずとても美しくて目が安らぐようでした。ジブリのアニメデザインや演出で時折感じるホラーっぽさ、グロテスクさも健在でゾワリとするような演出に目が覚めるようです。声優は1名を除いては誰か気がつかなかったです。明らかに声優ではないけれども、しかしそれでいて皆自然な声の演技でした。あと、今回はやけにゆっくりしたテンポに感じました🤔

そして何より、音楽がとても良かった。私が見たことのあるジブリ作品の中ではゆっくりで淡々としたテンポと雰囲気を感じた分、久石譲の印象的で凛としたピアノの音がよりくっきりと伝わる気がしました。

なので、私にとって本作は。久石譲の美しく響き渡るピアノを、映画館という大音量の環境で、美しい映像とリンクしてまるで私と1対1であるかのように没入感を持って向き合って楽しませてくれた、そんな音楽的に極上の心地を体験させてくれた映画…というのが一番のHAPPY POINTでした。

でも、それだけでは手放しで面白いとは思えないのです。なぜならスッキリしないし、作品を〈感じる〉材料が不足するから。だから、やっぱり総合的な判断としては、いつも通り「本当に見て良かったと思っているけど、正直に言えばハマらなかったな」というのが今回の感想です😌
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