め

君たちはどう生きるかのめのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

自分は残りの人生であと何度この映画を見るんだろうと思った。
賛否わかれるのは、かなり感覚的な映画で、結局どうこの表現を都合よく解釈するかだからだと思う。

宮崎駿は日常から不思議な世界へ連れていってくれることがあまりにもうまくて、今回も気づけば私は塔の中にいた。
始まりから終わりまで、私はすごく自然に眞人になれた。

最初のなつこへの気持ち悪さが妙にリアルでキツかったな。
ただ、なつこが「あなたなんて大嫌い」と言った瞬間にすごく、傷ついて、悲しくなってしまって、どうして、と不安になったし、あんなに気持ち悪かったはずなのに、と不思議な感覚になった。
だから自然と眞人がなつこを「母さん」と呼んだことにも違和感がなかった。
ここで眞人の成長を感じた人が多いと思う、手放されて初めて気づくなにかだったり、たくさんの宝に溢れた生活をしていた眞人に足りなかったものをここで見つけられたのかなぁと思った。

「最初は大叔父が持ち込んだものが増えて今では塔の中がインコでいっぱい」という表現もかなり面白かったな。
インコはジブリスタッフであり、私たちジブリファンであるともとれたし、
私はあれを「インコ=悪意」だと認識していて、小さかったものがいつの間にか膨らんで自分では制御出来ないくらい中を埋め尽くす、でも外に出ると小さく誰かを汚すことしかできないもの
その自分の中では小さなものだった最初のひとつが自分の世界壊していく、というのは私にも心当たりがあった。

あの塔は宮崎駿の人生であって、映画そのもののテーマがよく分からなかったのは、ごく自然なことなんだと思う。
自分の人生も、誰かの人生も、よくわからないものだし。
そこに必要なものは地獄であり、産まれる場所であり、炎で、水で、森で、意思で、母で、悪意で、友で、1番を決められない、とっ散らかったものであると思う。

あの塔が宮崎駿の人生で、大叔父は宮崎駿だと思って見ていたから、「私も老いた」というセリフや、積み木という世界が崩れていくシーンはかなりグッときたし、切なかったなぁ。

いつか今よりもっと歳をとって、それを全部受け止められるくらい、自分の器がもっと深く、広いものになればいいなと思った。
「理解することが正解の映画」ではなくて、「考えて想像する」が大事な映画なんだなぁと思いました。

最後のエンドロールに宮崎駿の名前が流れた瞬間、胸が震えたよ。
この作品は、間違いなく宮崎駿のモノだ。

そうして、宮崎駿という石を持って、私は映画館を出た。
これから先、忘れてしまうことがあるだろうけど、大事にしまっておきたいものとして置いておこうと思いました。

感想は書ききらないな、おさまりきらない、何にも。
それでいいし、私の文章を読んで、意味がわからない浸ってるだけだ、と思う人もいると思う。
おもしろい、という映画ではないし、最初の通り、かなり感覚的なものだと思う。
結局全部わたしが都合よく考えたものだと思う。
それでも私はこの映画を【よかった】と思う人でありたい。

宮崎駿監督、お疲れ様でした。ありがとう。
め