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君たちはどう生きるかのyukinoのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.8
「何が言いたいかわからない」「捉えどころがない」「解説がほしい」という感想も多く耳にするけれど、そうやって正解を求めちゃうのが、現代人の悪い癖のようにも思う。

ここに描かれていたのは、混沌とした世の中そのもの。わかりにくい世の中をわかりやすく抜き出したり、道筋を明らかにしたところで、結局実際の世の中は複雑性に溢れている。だからこそ、そのまんまのごちゃごちゃした世界を、表現したのではないかな?と受け取りました。

その中で誰に支持されるでもなしに意思決定を重ねるのが、ここに描かれた登場人物たち。「僕はいく」「私はいかない」。全て自分次第、なんていうとドライに聞こえるけれども、そういったそれぞれの正義を突き進んでいくことが、彼らの生きる道を開いた。

大叔父さんからつながってきた知らない過去の流れの中で生きているけれど、そこを無視せず、囚われすぎず、自分の思う道をゆく。

とにかくいろんな要素が詰まっていたけれど、それはまるで種みたい。植物は子孫が上手く生きるために種に全データを刻むように、宮崎監督もまた、この映像作品に、これからの世界を生き抜いていくための答えではなく問いを、私たちに与えてくれたのではないだろうか?

さて、自分はどう生きていくか?

この種をもとにして、見た人それぞれが、それぞれの環境で、それぞれの花を咲かせていけば「よりよい世界」は実現していくのではないかなと思う。

…と、考えさせられる中での「わらわら」の純粋なかわいさはこの上ないよね笑
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