ちる

君たちはどう生きるかのちるのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

本作は"どう生きるか"ということを主軸にすると、当たり前にストーリーが破綻するということを教えてくれたように思う

ジブリ史上最恐のサイコ少年とさまざまな鳥&おばあちゃん各種が贈る論理などない世界(生命・人生)の話

我々はついに宮崎駿の解釈を肉眼で観測することができなくなってしまったのかもしれないという虚しい事実と、様子のおかしい全ての登場人物たちへの歪な不信感、そしてジブリらしからぬ観客の置き去り具合にひたすら打ちのめされた

言い知れぬ怖さ、人知を越えた理
我々の生に本来意味などなく、そして生きるということは常に不確定で恐ろしい事象との対峙なのだということ、生命のバトン(血縁)からは逃れられないということ、友達はいいよねということ
だんだん宮崎駿は「意味のない意味のわからないもの」を創り、我々にあーでもないこーでもないと適当でそれらしい意味を与えるように仕向け、生きるとはつまるところ意味のないものに自分好みの意味を与えることだということを伝えたかっただけかもしれないと思えてきたけどこれもまた意味のない解釈
だから本作が実ははやお@老後チャンネルの「【救済】イーロン・マスクによって消された青い鳥を救ってみたWWW」であったとしても、正直マジでどっちでもいい

スタジオジブリがこれまで提供してきた「語らない」というスタンスはある意味変わらないのかもしれないけど、なんだろう、ここまで置き去りにされるとは正直思わなかった
今まで当たり前のように享受してきたわかりやすさのなかに散りばめられた分からなさ(追うものだけを離さない考察の余地)に心底夢中になって、いつまでも竜の巣を探したりハク様が八つ裂きになってないか考えたりポルコとジーナの結末にニヤニヤしたり森を見るだけで簡単に"ジブリ"を連想することができたのに、なんでこんなにも何も残っていないんだろう
わたしは何を頼りにこの作品を思えばいいのか
この作品の何に想いを寄せて、何に心が踊るのか、多分この先もずっとわからない
ここまで手がかりのない、夢中になる隙のない"分からない"に翻弄されるとは思わなかった
そんな作品にどう生きるかと聞かれましても、ねえ、、?という気持ちになるけど、『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著)を読んだ時も確か同じような気持ちだったように思う
これらは「生きること」の解答解説書・指南書なのではなく、難しいアレコレを並べ立てた末にハイ、じゃあ君たちはどうしますか?という厄介な問題提起をして終わっていくある意味不親切なコンテンツなのだという結論にちょうど今至りました

ただただ、これを宮崎駿の遺作にしないで欲しいと思うばかり
だって一生のうちに見れる駿のジブリは絶対に多いほうがいいですからね
一生国民に搾取される駿たんかわいそうだけど、それくらいみんなの心臓食べちゃったんだからしょうがないよね汗
責任取って一生悩んで宮崎駿でいてください
ちる

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