MiYA

君たちはどう生きるかのMiYAのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

どんな映画かと聞かれれば「宮崎駿らしい映画だよ。でもラピュタやトトロを期待しないように」と伝えたい。

実録路線(?)だった「風立ちぬ」から一転、しっかりファンタジーに寄せているし、少年の冒険譚、成長譚という軸もある。思わせぶりなメタファーのようで、実は単に描きたい絵を描いただけなのかもしれない。そんな絵面に溢れている映画です。いつもの宮崎駿です。

一方で、吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」に思い入れが深い私からすると、やや拍子抜けするところもあります。映画の中で主人公が同書が手にするシーンはあるものの、物語からそのエッセンスを感じる部分は殆どありません。宮崎監督は、同書のタイトルだけを拝借したのではないか、という疑念すらあります。

本作の中で最も考えさせられたのは、物語のクライマックスで主人公が世界を救うことを拒否するところ。1人の少女(又は少年)が世界を救う物語をさんざん描いてきた宮崎監督がなぜこんな結末を描いたのか。すくなくとも、あの本の中で叔父さんコペル君に教えたことは、この真逆のこと。しかしながら、「他」ではなく「自」を選ぶことに躊躇がないのが今という時代だと言いたいのか、そのことを踏まえて、そんな時代を生きる私たちに「君たちどう生きるか」と問うているのでしょうか。
MiYA

MiYA