Keny

君たちはどう生きるかのKenyのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

いやはや見ごたえ抜群の作品でした!
考察がやまないね。
個人的に村上春樹感をすごく感じた。

タイトルからもわかるけれど、この映画は問いで構成されている。それがこれまでの宮崎駿映画との明らかな違いだと思う。監督自身の一定の答えが内包されていた映画群と比べると、観ている側はひたすらに考えを要求される。
それゆえに、映画と自分との間である種のセッションが行われる(その時間は実に快活だった、ずっと続けていたいほどに)。

以下、思ったことをつらつらと。
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塔の下に潜む世界。これは科学に奢った人間が生み出したバランスなき世界の縮図だ。

魂の子供"ワラワラ"を育てるキリコ、それを淘汰するペリカン、さらにペリカンを淘汰するヒミ。現世の均衡を保つために機能する世界には新たな生命は生まれない。

大叔父はこの世界を震源地として悪意のない世界を作ろうとして、鳥から手懐けた。しかし、力を持ち始めたインコたちによってバランスは崩れ始める。そこで、眞人とナツコを呼ぶ。魂を守るもの"ヒミ"と魂を壊す爆撃機を作るもの"ショウイチ"との間に生まれた子供である眞人はまさに人間そのものの象徴のように思える。それはまさに人間がどう生きるべきか、人間自身に問うことにしたということか。
そして人間世界からナツコを誘い、生のない世界で命を産み落とさせることで、元の世界の転覆を図る狙いもあったのかもしれない(眞人に対する嫌悪は人間世界への嫌悪か)。

しかし、眞人はナツコを連れて現世に戻る。
一方でヒミは眞人の母としての人生に向かっていく。それは、淘汰する世界ではなく悪意の中で燃えてでも手に入れるべきものを見つけたからか。

疑問
"禁忌"とはなにか。
眞人はなぜ悪意のない石をもう一つ追加できるのか。
Keny

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