ジョイ

君たちはどう生きるかのジョイのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.5
戦時中の強い男と強い女。そのなかで生きる主人公・真人。


宮崎駿監督は、子どもが思う一番最悪なことを描くのがほんとうに上手。

誰だって最初は嫌でしょう。
新しいお母さん。
父と別の女の人に宿る命。
父と女の人の性的な行為。
新しい土地と学校。

艶やかな女性が身につけた光り輝く指輪のシーンから胸糞悪い映画だなぁと。
帰り道に、自分の曽祖父の存在を思い出した。ネズキチさんは腕っぷしのいい人で、本妻の他にも妾がいたと。で、あの時代(戦後10年内)には、妾の子どもも一緒に本妻宅で面倒をみていたらしい。令和に生きる私には考えられないけど、最近になって母から聞いた。自分の子ども四人と腹違いの子ども三人を見ていた私の曽祖母はどんな気持ちだったんだろう。嫉妬なんてあったのかな、なんて考えてしまう。時代が変わると価値観も変わる。母が言うには「あの時代にはあれが当たり前だったの」

この映画を簡単に表現すると、時代を生き抜く大人たちと比較して大人になりきれない主人公の心の機微を描いた作品かな。

胸糞だな、と思わせてくれるからこそ、見終わって一日経つと、じわじわと心に何かが染み出してくる。そんな映画だった。
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