マインド亀

君たちはどう生きるかのマインド亀のレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.5
●完全に前情報のないブラックボックス的宣伝手法が完全に功を奏したジブリ作品。ジブリを映画館に見に行ったのはポニョ以来。(というか、劇場でわざわざジブリを観た記憶のある作品って、『ポニョ』『千と千尋』『もののけ』『となりの山田くん』というわりとドープな作品ばかり…)しかしこればっかりは観てみないとわからないので久しぶりに劇場で観てみました!

●いやーなかなか凄かった!この作品もなかなかドープ!『ポニョ』もなかなか狂気の世界でしたが、この作品はもっとスゴイ!もうメタファーしかない(笑)
この作品は色んなレビュアーが数々の俺考察を繰り広げていますが、多分どれもこれも当たってるし、違ってる気もする。つまり宮崎駿の頭の中は誰にもわからないわけで、宮崎駿が自由にパーフェクトなセルフコントロールで作った映画が、今までのどの映画よりも純度高いのは当たり前ですが、一番気が狂ってるとしか思えませんでしたね。
そもそも、色んなレビューで「俺は分かってる」という人がたくさんいると思うのですが、分かると思うことごおこがましいと言うかなんというか…僕にはよくわかりませんでした。が、ここでは書きませんが「これはアレのメタファーかな?」「あれは監督のあの願望なのかな」とか色々と想像しながら映画を観ることが楽しかったです。
この人はどこまで行っても考える人なんだな、と。『もののけ』の着地点が決まらなかったのと違って、もう最初から着地点なんて決める必要がないんだと、そんな気さえしました。

●もう題名からしておかしいんですよね。題名が『君たちはどう生きるか』なのに、原案が『失われたものたちの本』(あらすじを読むだけでもほとんどそのまんま!ノンクレジットなのが不思議。大丈夫?)。
原案があると分かれば納得する人多いんじゃないかなぁと思います。
その原案に、宮崎駿の少年期の人生と、戦争への反発と戦車への憧れの二律背反的な感覚、父親に対する嫌悪と母親への愛、核の恐怖、ジブリの今後…などを掛け合わせた、のか、無意識に反映された、のか、わかりませんが、とにかく宮崎駿の全てをぶつけて出来上がった作品なんだと思いました…が!
この作品に対してはあまり多くを書けません…考察を書いたもんなら、「分かってない!」とか怒られそうで…というのもありますが、考察そのものが無駄なのかなぁという気もします。

●巨匠の晩年って多分こういう作品が多くなる傾向にあるのかもしれません。正直、今後は30分程度のショートフィルムでいいので、自分のフェチを存分に炸裂させた冒険活劇や本作のように狂気の作品などを作って貰えればめちゃくちゃ観たいなあと思いました。「階段の降り方」だけを延々に撮った作品とかも…観てみたいかも!死ぬまで頑張って欲しい監督です!次作も是非!
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