このレビューはネタバレを含みます
鑑賞中は、今までのジブリのダイジェストのような場面と、ハイクオリティなアニメーションに集中しつつも、正直なかなかメッセージが掴みきれないまま見てた(若干隣のポップコーンの音と匂いが気になり)。ってことでまず第一に、これ世界観壊すのでポップコーン禁止にして下さい笑 マスク鑑賞に慣れてたせいか、まぁ臭い。
さて、見終わった直後は、いろんな感情が押し寄せてきて、母の死と愛情を踏まえた上で、新しい現実を受け入れて東京に帰るマヒトの成長と覚悟に涙が出そうになる。
とは言えなかなかこの感想を言葉にできない感じで、多義的な解釈が色々押し寄せて来る。その反面、あんまり無理に言葉を当てはめなくても良いのかなーとか。
少し時間を空けて思うのは、トトロであり千と千尋であり、やっぱり宮崎駿というかジブリ作品に通底する、大人になるとすっかり忘れがちな、多感な子供の感受性や大人の知らない間に内面の成長を遂げているあの感じを、自分の内面を映すファンタジーと共に描いた作品だなと。
その上で本作は、戦争下で母をなくすと言う壮絶な経験に触れ、周りにその思いを打ち明けることなく、自分の心と向き合うマヒトの目線に寄り添うことで、後から後からいろんな場面が思い起こされ、より立体的になってくる作品のように感じた。大人のペースと子供の心のペースは違うよな。父親の単純さや感性の低さが対照的に描写されている。
母の愛情に触れて、「父親の好きな人」から、「夏子母さん」として受け入れていく心の過程。自分を傷つけた時の複雑な感情。ファンタジーを通して描かれる成長。
ただ、はっきり自分が受け取ったものが正しいのかどうだったのか良く分からない。
答え合わせではないが、もう一回観たい作品。
