このレビューはネタバレを含みます
MCUが去年の成績を受けて大慌てでいるのにソニーさんは随分悠長ですな…とズッコケる映画だった。嫌いじゃないけど、なんでこれでいけると思ったんだ。
今や配信ドラマでも数多くあるアメコミものだが、ビギニングとしてはダントツの地味さ。それもそのはず、主人公の能力は終盤も終盤までたまに使える未来予知だけ。彼女と同行する3人の少女はホンマもんの一般人である。それだと敵が強すぎてピンチになるのでは…？それなら逆に盛り上がるのでは…？とは、ならなかった！敵が弱すぎるからだ！
名前だけは使徒っぽくてカッコいいヴィランのエゼキエルだが、その実アメコミ映画最弱を狙える逸材だった。彼の計画が上手くいくのは未来のイメージの中でだけ。その未来を回避するために動くキャシーの前で、終始ボッコボコである。チート能力とはいえたまに未来が見えるだけの一般人(それも3人も足手纏いつき！)相手に、そらもうボッコボコ。弱い。弱過ぎる。何回車に轢かれるんだお前。せめて最後の看板くらい避けるか受け止めるかしてくれよ！「あと少し…もう少し…おいでおいで…！」と呟きながら後退りするという、午後ローのテキトーなパニック映画でも滅多に見ないバレバレの罠に引っかかって死ぬってお前。
ただ、あまりに弱すぎて逆に輝いていた…というのは、斜に構えた観方なんだけどさ！何にせよインパクトがあるってのは悪いことじゃない。…とは限らないけれども。これ以上弱いと戦闘員Aとかそのレベルになるので、アメコミ映画界最弱メインヴィランの座はしばらく譲らないんじゃないだろうか。「ザ・バットマン」のリドラーみたいな弱いけど怖いタイプもいるけどさ。エゼキエル？本当に何もできないよ。ジンの兄貴がウキウキしそうな顔認証システム手に入れといて全然役立てられないし。なんでキャシーのペルー出国見逃してんだよ…そしてなんでキャシーは気軽に出国してるんだよ…ツッコミが追いつかない！(でもジンの兄貴も認証システム使えたところでエゼキエルと大差無さそう)
普通にスパイダーマンな見た目で醜態を晒しまくるので、もうそれはそれで見どころよ。てか、スパイダースーツである意味…！「マーベル初の本格ミステリー・サスペンス」とか言うからさ、ここに何らかの謎があると思ったのよ私。どこかしらで我々の知るスパイダーマンと繋がるのかなあとか、そもそもエゼキエルとスパイダーマン擬きは別人なんじゃないか？とか。特に後者は思ったよね。エゼキエルが撒かれてからスパイダーマン擬きが襲ってくるまでが早すぎるし、「ははーん、このヴィランはエゼキエルとは別だな？ミステリーだな？」って。普通にエゼキエルでした。着替えが早いだけでした。…( ﾟдﾟ)
製作陣は、ミステリーとかサスペンスの意味知ってるのだろうか？ミステリー要素がないのが一番のミステリー。哲学かな？サスペンスですらない。エゼキエルが未来視に全く対抗できていないので。相手の能力分かってるんだから何かしら対策しろエゼキエル。猛毒はどうしたエゼキエル。せめて勿体付けて登場してるベンおじさんやピーターママを人質に取るとか、ちゃんと悪役ぽいことしろ。何ができるんだお前には。
主演のダコタ・ジョンソン、「フィフティ・シェイズ」シリーズで世界中からバカにされて以降アート映画メインで出る作品選んでそうだったのに久々にブロックバスターこれかよ！最後に登場するコスチューム姿が超ダサいのがまた…いやでも嫌いにはなれない笑。
致命的にダメなんだけど、なんか嫌いになれないんだよな「マダム・ウェブ」。絵は暗くてシリアス風なのに実は能天気なとことか。絶妙にダサいとことか。面白くないとことか。全部引っくるめてティム・バートン以降、ノーランやMCU以前に沢山作られたヘッポコアメコミ映画の味を感じて。
だって、個人的にヘッポコアメコミ映画あるあるの、「雑な緊急救命シーン」があるんだよこの映画。「ER緊急救命室」をテキトーになぞったような救命シーンが序盤にあるというあるある、あれなんでなんだろうね。あと、無駄にずっと車内。永遠にタクシーに乗ってるんじゃないか、「タクシードライバー」のデ・ニーロより乗ってるんじゃないかと思ってようやく降りたと思ったら今度は救急車にずっと乗ってる。この絵的な広がりのなさ…なんでだろう、嫌いにはなれない！お金払って観た後悔はあるけど！
色々(主に頭が)足りていないが、食傷気味のミッドクレジットやポストクレジットもなく、軽く観てしまえる。ヒーロー映画疲れなんて言うけど、むしろ最近のヒーロー映画に疲れている人ほど好きかもしれません「マダム・ウェブ」。ごめんそれは話盛ってるわ。イザベラ・メルセードのビジュアルがずっと優勝しているので、そこは本当にオススメポイント…と書こうとしたけど、コスチューム姿はちゃんとダサかったな。…嫌いになれねえな！このダメさ！
