サスペンス要素はあるけどマーベル初の本格ミステリーと謳いながらカケラも感じさせない。マーベル初の本格ミステリがどんなものかかなり期待していたのに残念。敵のエゼキエルにもう少し背景を持たせればシャマランの「アンブレイカブル」のようなヒーロー誕生譚として描けていたんじゃないかと思う。魅力が弱いだけじゃなく力量的にも弱い。グランドセントラル駅は「アンブレイカブル」にも出てきた舞台だし何かと符合する点が多い故に比べてしまってなかなか都合が悪い。
ティーン向けのノリなら、それならそうと宣伝してほしい。ダイナーのあの感じ、そこで流れるブリトニー・スピアーズのTOXICなんかは確実に00年代初期の空気は纏っていたような気がする。エゼキエルが毒を注入できるという白々しい設定とリンクしていることなんてどうでもよくなるくらいに。その後のアクションが物足りない。少し先の未来が見える人のアクションってその戦い方の機転で面白くさせるのが醍醐味のはずだけど、まさか車でぶつけるだけで(しかも2回)自ら放棄してくるとは思わなかった。予知演出が見づらいのももどかしかった。
ただ、つまらなかったと聞かれればそうじゃないですと言いたいぐらいの映画ではある。マダムウェブと少女3人の関係性は良い。これが伏線だと言わんばかりの大々的な心臓マッサージが好きだし、それ以外いらないくらい。4人のキャラクターで踏ん張った映画。それは同じSSU作品のヴェノムとどこが違うのかと思う。
