初恋を思い出して涙ぐむような話かと思ったらちょっと高貴すぎるようなおしゃれすぎるような気がして誰の話？とは思った。別に下衆な話を見たいとは思わないけど。
初恋というある種の呪い。その解放までの24年を描いた話だと思ったけど、近年稀に見る未練がましい男(女)を見たというか、呪いをかけた彼女にも実はちゃんと効いていたという話でもあるように思えた。もし、あのときこうしていたら特に男の方に自問自答させる。水たまりや都市の風景、ホテルのラウンジ。画の切り取り方がいちいち絶妙で画面に想いを託している。視線の交錯も絶妙。
部外者であるともいえるアーサーがちゃんと不機嫌というか不満を隠してるけど漏れ出ている感じが素晴らしい。3人が一堂に会する場面が見どころ。かなりその辺りは慎重に描いていると感じるし、着地としても大人。振り子のように揺れる思いを静かに極限まで高めている。A24といえば「スプリング・ブレイカーズ」のように破滅的で刺激的な作品が好きだがこのような美しいロマンティックな映画も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる。
