デニロ

死体の人のデニロのレビュー・感想・評価

死体の人(2022年製作の映画)
3.5
生きながら死んでいるミュージシャンには容赦はない。

自らは生きたいと思い、授かった命を生かしたいと願う唐田えりかは、生きながら死んでいるミュージシャンを遂には断ち切る。製作者は断然唐田えりかを擁護する。

死体の人、が主人公なのだが、もちろんその死体は生きている。生きたいと願うその思いだけで死に続ける。そんな死体の人にとっても、死は非日常であって、思わぬ母の死に悄然とする。死は簡単なものではないのだ。生きながら死んでいるなんて、そんな生っちょろい。死ではすべてが無くなってしまうのだから。そして、死体の人の妊娠検査薬騒ぎも、生から生への大転換で哀しさに彩られたおかしみのバラード。

さて、唐田えりか。手足の長いしなやかな肢体。彼女を鑑賞できることは生きる歓びだ。恋にタブーなどあるものか。
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