学校に立てこもるニューヨークはダウンタウンの高校生達を描いたR&B界の大スター、アッシャーにフォレスト・ウィテカーら主演の青春ヒューマンサスペンス。日本ではかなりマイナーな作品ながら良かったです。
まず窓が壊れ防寒着で授業を受ける生徒達の劣悪な学校の環境に驚き。そんな中教育熱心で生徒達から支持される教師が休職、数人の生徒が復職を学校側に求めるも退けられ理不尽な扱いを受け・・というのが事の発端。
立てこもった生徒達は丸腰の父親が警官達に射殺、父親から虐待を受け学校が唯一の拠り所といった過去や事情を抱えているのが次第に明らかとなり感情移入。混乱する警察やマスコミ、生徒を応援する群衆達も描きつつ、人質のフォレスト演じる負傷した警官も思わぬ絵の才能が有る生徒を評価することで絆が生まれ次第に味方となっていく流れも心地良く、警察に対する学校環境の改善といった要求の数々をネットを通じて訴える現代的手段もスピーディーでちょっと爽快。
自分の信念を貫き行動する、というおそらく向こうで根強いマッチョイズムあるいは男性らしさみたいなもので葛藤する終盤の生徒とそれをなだめ説得する警官の対決もスリリング。結局関係のない人物が犠牲となり悲劇的に収束するも、規模こそ小さめながら良い変化が見れるエンディングは人間一人一人の力も侮れないものだと改めて感じさせるものでした。
役者としてのアッシャーは主演作はそこまで多くないものの教養もありながら反骨心を持つ立てこもりリーダーを見事に熱演。ジャケットにも大きく描かれてますが歌手としても有名なヴァネッサ・ウィリアムスも交渉人として出演し、プロデューサーにはこれまたR&B界の名ソングライター、ベイビーフェイスの名前が。