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The Girl and the Echo(英題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Girl and the Echo(英題)(1964年製作の映画)
3.5
[リトアニア、夏の終り、浜辺の記憶] 70点

『デルス・ウザーラ』の共同脚本として知られるユーリー・ナギービンの短編小説を元にしたアルーナス・ジェブリウーナスの長編二作目。今回も『The Beautiful Girl』と同じく、子供たちの物語、より狭めると可愛い同年代の少女に意地悪をする少年たちの物語である。主人公ヴィカは夏休みに海岸沿いで暮らす祖父の家にやって来ており、毎朝漁に出る祖父を見送っては独りで遊んでいる。浜辺には地元の子供たち以外誰も居ないので、普段は素っ裸で泳いでいるが(これを理由に上映禁止となった)、新参者として現れたロマによって状況は変化していく。地元の子供たちはガタイの良い青年を中心に5人ほどの集団で遊んでおり、青年は子分たちに"印をつけたカニを取ってきたらリーダーの座を譲る"としてそれを海に放り込むが、常にリーダーであるように不正を行っていることが明らかになる。それを正すのはヴィカであるが、彼女は女性であるが故に爪弾きにされ、ホモソの中でロマは権力への従順を取るかヴィカへの愛を取るか思い悩む。

本作品にはレジスタンスが最後まで守り抜いたと言われる吸収な岩場が登場する。守り抜いた兵士が幽霊となったなど様々な噂があるようで、不気味なこだまを返す岩場を『ピクニックatハンギング・ロック』のようなズームショットで捉えることで、その神秘性を強調している。そして、権力への従順を"聴こえること"と変換し、こだまと貝殻でヴィカとロマを結びつけていく。

ひたすら浜辺で遊び回っているシーンが続くので、Mircea Săucan『The Endless Shore』みたいな強烈なアレゴリーがあるんじゃないかと戦々恐々としていたが、きちんと子供の映画としてビターな帰結を持ってきているので安心。
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