カーテンレールが壊れる。
直さないととは思いつつ結局そのままにしてしまう。
常にそのことが胸にありながら、放置して心のすみっこの方でいつの間にかささくれになっているようなことって誰しもあるんじゃないかなと思う。
上京して、仕事を辞めて、コンビニバイトで日々の暮らしを送る主人公の希が、かつての同級生やバイト先の人たちとの交流を通じて立ち直るまでを描く物語。
希の過去と壊れたカーテンレールがリンクしてるように見える。
いつか直さないといけない、いつか向き合わないといけない、でも出来ない。
恐らく彼女にとってはそれらに向き合うことが、他の人より勇気や労力が要る作業なんだと思った。
でも、かつての友人やバイト先の人たちとの交流から、それは自分が感じているより意外と大変じゃないってことだと知る。
世の中に理不尽なこと、不寛容なことは溢れていて、たとえそれが原因で躓いてしまったとしても大丈夫、大したことじゃないって優しく寄り添ってくれる作品だった。
心の突っかかりが取れた時の希の表情がとても良かった。
映画がとても良かっただけに、上映スマホをいじる、そのことに対してでかい声で注意する、席の間違いで揉める、舞台挨拶中ずっと喋ってる、サイン会の列の運営が上手く行ってないことにスタッフや知り合いにずっと文句言ってる、そんなことを立て続けに見せられ非常に残念な気分になった。