ハリウッドは如何にして「東宝チャンピオンまつり」を現代に甦らせたのか。
昭和ゴジラシリーズが持つトンチキでコミカルな演出やツッコミ所満載な物語といったヘンテコ映画としての魅力はそのままに、ハリウッドの大予算と妥協なき映像表現で圧倒的な説得力を持った本作は、その意味では大成功している。
映画の中盤以降は言語すら聞こえてこず、「ガオー」だの「ウホウホ」だの怪獣の世界のみで物語が展開する。そして怒涛のアクションに次ぐアクション。観客の知性を全力で奪いにいくスタイルは観ていて実に素晴らしい。
とはいえ、ゴジラとキングコングの持つオリジナルのキャラクター性は完全に失われ、デカいトカゲとデカいゴリラに成り下がっている点は指摘しておかねばならない。
ゴジラについては「東宝チャンピオンまつり」という特異点において実はとうの昔に失われた物ではあるが、コングはこのモンスターヴァースにおいて失われた感がある。
また、やはり伊福部昭先生のテーマが流れないのは寂しい。かの有名なテーマはゴジラというキャラクターそのものと言っても過言ではないのだから。