JJ

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のJJのレビュー・感想・評価

5.0
まずは、現地では今も悲惨で非人道的な行為が横行している事実を本作を鑑賞して今一度噛み締めた次第である。

映画としても真摯な作品だなと感じた部分は、本作の主人公でありAP通信のウクライナ人記者であるミスティスラフ・チェルノフ監督が、自らのジャーナリスト、映像作家としての苦悩を作品内で正直に吐露している部分である。
死体の山を目にした時、脳はこの光景を忘れたがっているがカメラは回し続けるー。
命懸けでこの映像を持ち帰った所で戦局が変わるとは思えないー。
そうして撮った映像をロシア側にフェイクニュースとして扱われる憤りー。
しかし、ジャーナリスト、映像作家、ウクライナ人として彼はカメラを回し続けるしかないのである。
本作では逃げ惑う動物や死骸のインサートカットや、人々、特に子どもの死が映るシーンが多くとても辛いが、それも監督の弱者に対する慈しみの視点があってこそ。作家性が表現されてこそだろう。
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