JJ

関心領域のJJのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
3.5
本作がプロット、演出、撮影、そして音響においてホロコーストを題材にした映画として唯一無二であることは、誰が観ても明白だろう。その意味で映画史に永遠に名を刻むであろう作品である。
ただ本作のコンセプト、予告編等による事前情報、企画書に書かれていそうな事柄以上の物に本編として発展していないと感じたのは観客として贅沢な要求だろうか。本作は芸術性と実験性の高い描写が多く素晴らしい反面、作り手側がそれらを完全にコントロール出来ていない節がある。
個人的には中盤以降、あるレジスタンスの少女のエピソードが実に斬新な演出で挿入されるが、その映像に対して物語としては上手く機能していないように感じた。

完璧に機能したと感じたのは本作のラストシーン。時空や概念を自由自在に飛び越え、遂には画面さえ飛び越え今を生きる我々に強烈なメッセージを投げかける。正に映画的表現である。
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