こじらせ男子の白昼夢

ゴジラxコング 新たなる帝国のこじらせ男子の白昼夢のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

総重量5kgくらいある凶悪お子さまランチみたいな映画。
本当に大好きですし、何度でも観たい。何度観ても良い映画だと思います。

あくまで私個人の偏見ですが、ゴジラ含む怪獣はメタファーとして使われがちです。しかも「自然災害」「核兵器」「戦争」など、マイナス寄りな概念を背負わされます。それはそれで輝いているのは間違いないのですが、少し不憫に思う部分もありました。

ですが、本作の彼らを観て頂きたい。

「これ!!!!!ここ!!!!カッコいいでしょ!!!!!!!!」
「このキャラデザと色合い良いでしょ!!!!!!」
「このポーズ!!!!!!このギミック!!!!!!!!痺れるよな!!!!!!!!わかるだろ!!!!!!!!!!!」

みたいなものばかりが怒涛のように押し寄せます。
これには怪獣ファンの末席として
「うん!!!!!!!!そうだね!!!!!!!」
としか言えないです。

つまり、メタファーでも何でもない。
怪獣を本当にただ怪獣として、心の底から愛しているのだ!という情熱が凄い圧で伝わって来ます。
まさにお子さまランチの如く「好きなものを好きなだけ乗せましたァ!!」という心意気です。

そんな心意気はストーリーの節々にも現れており「人間はあくまで地底探査と怪獣のサポートのみで、他ドラマパートは全部怪獣にやってもらおう!」という正気とは思えないペース配分になっています。

ストーリーは怪獣メインなので、必然的に怪獣の群像劇のようになります。

ゴジラは「昔シバいた奴が戻ってきたらしいな……ちょっとメシ食ってからケリ着けに行くか。」ってノリで、昭和のヤンキー漫画みたいなことをやります。原発にラーメン屋感覚で来ます。

対して、コングはもはや本作の主人公。「やっと見つけた同胞達の村が、暴君に支配されていたので解放しよう!」という某世紀末救世主を彷彿とさせるストーリー。多分胸に北斗七星の傷がある。

本作のヴィラン、暴君スカーキング。
シーモという冷気を操る怪獣を使役し、恐怖政治を敷く他力本願野郎。
と思いきや、あくまでコングらにはタイマンを挑む作中一不器用で熱い猿。
群れを率いているのだから、数で押せば善戦しただろう。
村人(猿?)を人質にすれば、少なくともコングは完封出来ただろう。
でも、彼はやらない。
鍛え上げた体と、謎の鞭と、借りてきたシーモの力のみで戦う。
たとえボッコボコにされると判りきっていても、退くわけにはいかない。
卑怯で卑劣な振る舞いをしつつも、隠しきれないボス猿としての矜持。
一目でイヤな奴とわかる秀逸な登場シーンが、彼のヴィランとして最初で最後の魅せ場でした。あとはもう可哀想なくらいボッコボコです。

その他には「鎖に繋がれ、苦痛により無理矢理従わされている」嘘みたいなヒロイン属性怪獣のシーモちゃんや、どう考えても女王というよりスナックのママみたいなモスラなど盛りだくさんです。
この辺りは是が非でも劇場で体験して欲しいです。

とりあえず私はもう一回観てきます。