シェフと大喧嘩して啖呵を切って店を飛び出したスーシェフ。次なるステージは別の店でも独立でもなく、施設の子どもたちの食事を作る厨房だった。簡素な缶詰しかなかった厨房が色とりどりな野菜や食べごたえのありそうな肉に埋もれてみるみる変わっていく。
フランスにおける移民問題にフォーカスを当てながら、働くひとりの女性像を映しだす。斬新でありながらリアルで、考えさせられる作品だった。この問題を解決する完璧な解答は残念ながらまだ見つかっていないが、この作品の中ではわずかな希望も灯された。小さなことからひとつずつ、なにかを変えていけるのはいつだって人間の力だ。
