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インフィニティ・プールのせっのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.8

観光地で交通事故を起こした男が捕まり処刑を回避するために自らのクローンを作って身代わりにしたら、変な方向の快楽が花開く話。

自分が殺されている様を見るのを楽しむというドMなんだかドSなんだかよく分からない娯楽。主人公的には、小説の才能もなく妻に養ってもらってる身分で自分を殺すことで、初めて自分の人生を自分でコントロール出来てる感覚になったんだろうが、それはまた金持ちのお遊びという皮肉。

金持ち達、観光先で自分が殺されるのを見るために犯罪行為を行い、セックスとドラッグを存分に楽しんで羽目に羽目を外しまくっているのに、帰る日になると急にすんってなるのが面白い。ほぼ裸同然の服に激太アイラインでキメてたミアゴス演じるガビが超地味になってて笑った。そうやって普通の生活に戻っていく金持ちとは逆に、主人公は戻って守りたい人生などないから帰ることが出来ない。

現実に戻りたくないから旅行先から帰れない悲しき廃人と思うと少なからず共感する部分も。それに金持ち達(金持ちかどうかも怪しいこの島の物価が低いだけかも)の旅行先での横柄な態度、少なからず海外旅行での自分自身と重なる。いつもより財布の紐緩いし、日本では着れない露出高い服を着て、羽目を外す。その国では何者でもない、好きな自分になれる。そう思うとたしかに自国での自分を殺しているようなものかぁと思った。
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