ダルマパワー

世界残酷物語のダルマパワーのネタバレレビュー・内容・結末

世界残酷物語(1962年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

見たことのない世界に何度も絶句した。未知のものに触れた新鮮さよりも、ざらついた感触というか、血生臭さを体に塗りたくられたような感覚だった。ドキュメンタリー、あるいはモキュメンタリーという形態を通して触れる人のリアルなおぞましさ、キテレツさ、滑稽さを感じられた映画だった。地域や文明は違えど、動物として、知恵をつけた人間のやることは、もしかすると生命のなかでもっとも残酷であるかもしれない。

普段見ている社会の常識を越えたこのような作品を、意外にもどこか達観したように淡々と見れてしまった自分は、心のネジが外れてしまってるんではないかとも思えた。

とりわけ中国の文化が目についたが、死を待つだけの人達と、早く死んでお祝いをあげようという人達の対比が非常にシニカルで印象に残った。老人の涙から、最後の最後に感じてしまったヒトとしての究極の孤独感を感じた。自分は死ぬときに何を思うだろうか。

残酷物語という単純明快なタイトルがとてもよく似合うオムニバス映画だった。

普段見ている世界の外ではあるが、外というよりも裏側、というのが恐らく正しく、フォアグラの話もしかり、自分もこの輪の中の一部にいるということ、人の残酷さはすぐ裏側に潜んでいるということ、自分もその残酷さによって生きているということを、改めて感じさせられた映画だった
ダルマパワー

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