けいたん

丘の上の本屋さんのけいたんのレビュー・感想・評価

丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)
4.3
本好きの少年と出会い幸せを感じる、小さな古書店の店主リベロ。リベロの優しい眼差しが心に残る。彼は少年に本を貸し、感想を聞かせて欲しいと告げる。感想を言い合いながら、(アフリカ)移民の少年に生きていくということを、さりげなく教えていくリベロ。ふたりの友情が深まり、少年の顔つきが少しずつ柔らかくなっていく。

読書家にはたまらない、リベロの言葉のひとつひとつが沁みるだろう。

「(この本は)何を教えていると思う?」

「本は2度味わうんだよ。最初は理解するため、2度目は考えるためだ」

ドキッ、最近、考える読書をしてなかったなぁ。反省。無性に本が読みたくなる作品でした。『モモ』を読み直したいな。

HPに少年が読んだ本が載っています。『白鯨』面白そうだったけど長い…少年凄いな。

物語の舞台、チヴィテッラ・デル・トロントの絶景、石造りの街並みや少年が本を読む公園、リベロが本を読む時のオルゴール、若いふたりの恋、すべてがとても素敵。明日もまたそこにあるであろう日常が愛おしかった。

お店を訪れる常連客も個性的で面白い。
リベロのことを気にかけるカフェの店員。
ゴミ箱から拾った本を売りにくる男性。
奥さまにフォトブックを探すように言われている家政婦。
自分の本を探す教授。
初版本を探す蒐集家。