イタリア語で本はlibroですが、これはラテン語のliber(自由)に由来します。本屋の店主の名は自由を意味するリベロ(Libero)。もうこれだけでこの映画のテーマがわかるね。
民族主義のやべえ客から始まって世界人権宣言で終わる。あまりに紅く血塗られた歴史を持つ欧州だからこそ様々な哲学が生まれた。
少年の祖国であるブルキナファソはかつてフランスの植民地だった。現在はイスラム武装勢力の活発化により国内情勢は悪く難民が増加。少年も難民としてイタリアへ来たのだろう。イタリア語の読み書きができることから、賢さと馴染もうとする姿勢がうかがえる。
こうした難民や移民、紛争の問題はかつては遠いどこか知らない国の出来事だったし私もよく知らない。だがこれらの問題は日本でも急速に悪化しているので、この少年は未来の日本の子供達かもしれないとは思った。移民問題で国際情勢がひどく悪化している現代だからこそ、やはり最後の一冊は大事な本だし、発禁本や哲学本を読む意義がある。欧州は闇が深い。しかし闇が深いほどに光も強く煌き、哲学が発展した。昔の本を読むことで、私たちは欧州の暗い歴史に学ぶことができる。
少年を含め、本を読む人間には家族の影がなく常にひとりなのに気付いただろうか。公園では皆誰かと楽しそうに笑っている。本は孤独な人間の友だ。そして本を読み理解し考えることは自身に自由の翼を授けるのと同じこと。
ほっこり系の映画だと思って観たけど学ぶことが多かった。とりあえず作中に出てきた本は全部読みたい。