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岸辺露伴 ルーヴルへ行くのskのレビュー・感想・評価

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)
3.8
「人間の手に負える美術館じゃない」ルーヴル美術館に行った人なら誰しもそう感じるであろう。

ドラマ版「岸辺露伴は動かない」は実写ドラマの最高傑作の一つだと思っているが、それは単に高橋一生の演技が上手いという表層的な理由だけではない。原作を思考停止でそっくりそのまま再現しようとするのではなく、「原作を解釈して現実世界に落とし込もう」としている姿勢が演技・演出・脚本から伝わってきたのが良かったのだと記憶している。

その点から言うと本作もまた単なる焼き直しではなく、観る価値は十分にあった。多くの指摘通り途中の間延び感は否めないものの、そのおかげで露伴がルーヴル訪問に至る動機をより「現実的に」感じることもできた。
他方、内容が映画としての密度に達していたかは別問題であり、原作を知らない友人にも手放しで勧められるかと訊かれると中々難しいように感じる。

詰まるところ実写映画の枠から完全には逸脱できてはいないものの、クセのあるジョジョファンたちを一定満足させているということは、やはり良い作品なのだろう。

実写版ダイヤモンドは砕けない——あれは何だったんだろうかと高橋一生の岸辺露伴を観る度に考えてしまう。あれこそ「この世で最も黒い映画」であろう。
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