クドゥー

特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテストのクドゥーのレビュー・感想・評価

4.5
『遠き空の雲の向こうで、銀色と出会う一年が始まる』

全国大会出場を目指す高校吹奏楽部を描くテレビアニメ「響け!ユーフォニアム」劇場特別編は、オープニングクレジットから醸し出される空白と不在が新たな日常で満たされる中で、決意の最終楽章に向けてチューニングが施される青春アニメーション映画の最高傑作。

原作小説に人生を狂わされた身としてはアンコン以上に部長としての久美子に注目してしまうが、京アニという作家性により超人となって袂を分かった前作から回帰をしているようで、彼女自身の原体験から生まれた慈愛の目を見ていたらとても推し量ることはできない。

どう考えても監督から贔屓されている奏ちゃんが可愛いだけで劇場体験としては百点満点であり、みぞ先輩との窓のくだりに彼女と過ごした時間への万感の思いを抱くしかないのだが、ここ最近凄まじかった前後編の引きを一瞬で散らすポストクレジットに息が止まった。



鑑賞記録
2023.08.04
チネチッタ川崎8LIVEZOUNDレーザー
→本来ならば初体験はフラットな環境にしたいところで他が論外で。本作の構成上音響調整は必ずしも利点とは言えないと感じていたが、ポストクレジットの切れ味を最大にするには最高の上映だと思い知る。せっかくだし今回の劇場巡りではミドル館を深めていきたい。

TOHOシネマズ池袋7
→二回目にして誓いのフィナーレ以来の何発でもいけるゾーンに。台詞の閾値ギリギリを攻めてくるプレミアで観たかったのが本音だが、最も信頼のおけるシネコンに相応しいバランスの良い上映。本日のラストはメイン館以外では久々の王者なので違いを堪能できたら。

グランドシネマサンシャイン11
→メイン館と比べて遜色ない体感サイズによる高明度の映像美。それを彩るパワフルなサウンドもアニメ映画において最適化された環境だが、いかんせん他のシアターからの干渉が許容範囲を超えている。T・ジョイ横浜がもう少し頑張ってくれれば済む問題なのである。

2023.08.05
新宿ピカデリー1
公開初週舞台挨拶付き上映
→僕が最も敬愛する創造神ゴッデスの生のお声が聞ける上映。最も印象的なシリーズがユーフォ2であすか先輩というのは全員が頷くし、キャラクターがペアで性格が出てくる群像劇の描き方も勉強になる。普段なら絶対に選ばない席でも新ピカ1の音は何だか安心する。

2023.08.06
横浜ブルク13シアター1
公開初週舞台挨拶LV付き上映
→初日初回初回からやってくれれば悩むこともなかったパーフェクト上映。映像が始まる前から分かる優雅さと繊細さを兼ね備えた音響に、良い意味で劇場のスケールよりもかたちの綺麗さで伝わる映写。それぞれの活躍も目覚ましいけれどやっぱり4人はカルテットだ。

2023.08.11
TOHOシネマズ上野8
→誓いのフィナーレ公開時にフリーパスで狂ったように通っていた僕の聖地。一言一句のレベルでニュアンスを汲み取る台詞表現が素晴らしく、演奏シーンすら日常に溶け込ませるサウンドは他にはない体験。アニメ映画の音が苦手な人にこそ是非一度味わってみてほしい。

丸の内ピカデリー1
→リズの試写会や舞台挨拶でのみ解禁されていた念願の二階席劇場上映。上野からの流れもあってもう少し床を震わせてくれると嬉しかったが、宙に浮いているような感覚とゆったりとした作風が絶妙にマッチ。一階席とも比べてみたいがこれからの特典や編成次第だろう。

2023.08.19
109シネマズ二子玉川2
→もはや毎週通うことで心身のバランスを整えるために行っている上映。先週のTOHO上野丸ピカの柔らかい台詞と比べるとアニメ声だけど、これはこれで楽しいし差額なしでのエグゼクティブシートは神。ちなみに現在配布中の特典にはアンコンよりも激しい戦いがある。

2023.09.09
TOHOシネマズ海老名4
→あんなセンスの塊みたいな入場者特典を見せられたら行かざるを得ない上映。何故かCH公開週にMX4D館を使うというカオスだが、音が分離していることが多い本作では珍しく塊としての圧を感じた。来週の入プレもクオリティが高すぎたらどうしようと嬉しい悲鳴。

2024.03.31
Blu-ray キャスト&スタッフコメンタリー日本字幕
→日本の公共放送史を変える新シリーズに備えて円盤を一気に堪能。ゆるい中にも作品に対する凄まじい拘りが垣間見えるオーコメを聴き、ようやく3期が現実になるのかと万感の思いを抱いていた。例によってパッケージとしてのクオリティがめちゃくちゃ高いのである。
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