『かつての偉業が罪になる、そうだとしてもラストは』
世界初の原子爆弾の開発に成功した科学者の栄光と没落その生涯を描くC・ノーラン監督作品は、今世界で最も影響力を持つ映画監督が人類史上最大の力を生み出した男の深淵に挑み、彼のためにシドニーまで行きまくった僕の情熱が蘇る伝記映画のオールタイムベスト。
お馴染みの時間軸演出については時代の光と闇で区切るというエモーションに基づくものであり、Wアカデミー俳優の引力あるいは重力のような芝居がハイライトすら圧縮させながら、遂にマンハッタン計画とクソみたいな私怨が作劇上等価値になってしまう天才の所業。
本作を超える視聴体験は原爆ドームに行けばその瞬間に待っていると前置きさせてもらった上で、我が国からの視点がないからこそ同じ人間とは考えられていなかった悲劇と受け取れ、あらゆる集団への帰属意識のない僕がこれ程までに自分を日本人と思う日はなかった。
鑑賞記録
2024.03.29
T・ジョイ横浜4DolbyCINEMA
→まさかのグラシネIMAXのチケットが取れなかった結果オーライ上映。やはり詩的な映像が炸裂してこそのノーランだと感じるし、暴力に寄り添うサントラなんて経験したことないので僕の手には余る。昨年の8月など無理に決まっているし今がその時なのであろう。
2024.03.30
グランドシネマサンシャイン12
IMAXレーザーGTテクノロジー
→初体験をドルシネだったことがガチで結果オーライになる上映。瞬間爆発力を持ってしても議論メインと変則フォーマットの相性が悪く、初期のようにハイライトに絞るべきだと個人的には考えている。本気のアトモスはとんでもないサウンドだというのもよく分かった。