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特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテストのmalのレビュー・感想・評価

4.0
完全にファン向けの作品です。 TVの新シリーズを見るにあたって復習もかねて視聴しました。 60分にも満たない短い上映時間ですがしっかり楽しめました。

演出やキャラ造形だけで判断すると一見萌えアニメ風ですが、それとは真反対の、人間関係の微妙さをきっちり描いているのが魅力的なシリーズで、本作もそれが踏襲されています。3年生が引退し、2年生が幹部になったことで主人公の黄前ちゃんが部長に。それに伴い発生する影響力についてところどころで言及されていたり、リーダーとしての立場と一部員としての考え・感情の葛藤も醸し出されていたり。数十人をたばねるトップ、しかも実力でトップというわけでもなく、周りと年齢もさほど変わらない。考えただけでも胃が痛くなりそう。嫌味や圧力を感じさせることなく、人に指摘できるというのは得難い才能で、黄前ちゃんはやはりトップの器と感じました。これだけ人間関係の調整力ある人なら何やってもそれなりに成功しそう。ずっと思ってましたけど滝先生とか副顧問って教師として結構無能な気がしますが、どうですかね。未成年だけの集まりの中、人間トラブルがあった時に出てくるべき大人が対応していない、精神的フォローを欠いているという印象を受けます。自主性を重んじると言うのは簡単だが子供が鬱になるで。私の好きな漫画『忘却バッテリー』にて、選手の決断のストレスを負担するためだけに監督就任した人物がいましてその役割についてひどく納得しました。これは極端かもしれませんがそれくらいメンタルヘルスサポートは重要だよとは思いますね…。

鎧塚先輩の窓の話、つばめちゃんがマリンバ運ぶシーンなど心情と演出がわかりやすく連動しているところにぐっと来ました。黄前ちゃんと麗奈がキャッキャしてたり、二人だけでいるときは素直に嫉妬したり、ぐずぐず言い出したりするのはかなりの癒やしポイントでした。ただ、高校生くらいの年齢だと自分の感情を素直に言い出せず、こじれることも結構あるような気がするよ!(実体験)3年生が出るところも嬉しくなりました。でかリボン先輩と夏紀先輩の絡みは尊い。

「自分にとって当たり前でも他の人にとっては そうじゃないってことは意外に多いからね」
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