陰謀論者X

ファンタズムの陰謀論者Xのレビュー・感想・評価

ファンタズム(1979年製作の映画)
3.0
幼少期のトラウマ映画です。やはり無意識のうちに敬遠していたのでしょうか。見ようと思ってもどこのレンタル店にも置いてなくて、かといって円盤を買うというほどのものではなかったのでちゃんと見た事はありませんでした。それがGEOのネットレンタルで普通に借りられたのでこの歳になってようやく最後まで鑑賞しました。

葬儀屋の無機質な真っ白い廊下の向こうから殺る気マンマンですっ飛んでくるシルバースフィア(勝手に殺人ボールと呼称してた)が顔面にぶっ刺さる絵面、陰気な顔をした黒装束のトールマンが子供を本気で追いかける絵面、ドアに挟まったトールマンの指をナイフで切断したら大量の黄色い血液を噴き出してなおウネウネ動いている絵面とか、テレビで放送当時はこれらがめっちゃ怖かったんですよね。今見ると全てが笑いポイントでしかありませんけれども。

それにしてもシルバースフィアです。何だろうこの発想力は。刺突用の刃物が仕込まれている銀色の玉が飛んでくる絵面は何か根源的な恐怖を感じますね。転倒した事で間一髪避けたマイクの代わりに顔面にシルバースフィアがぶっ刺さったおじさん(トールマンの親族か?)の眉間あたりを内蔵されたドリルがホジり、血液排出用の後部の穴から『どんだけ出るのか!?』ってくらいに大量の血液が噴き出して、悶絶しながらぶっ倒れたら失禁までするという妙なリアルさ。殺された人間が失禁する演出なんてホラー映画でもあんまり見なかった気がする。

切断しても黄色い血液まみれでウネウネ動くトールマンのキモい指を証拠用に胸ポケットにひょいっと入れるマイクもどうかと思ったのですが、自宅で確認したら指が蜘蛛みたいなモンスターに変貌してしまい兄と一緒に取り押さえてディスポーザーにブチ込んで殺すのが大変だったり(この一人芝居は『死霊のはらわたⅢ』でのアッシュを思い起こしました)、兄の親友のレジーが見事な若ハゲ具合で妙に目立つ顔立ちだったり、やたらにガバメントや12ゲージショットガンといった強力な銃を撃ちまくったり、ショットシェルの信管を弄ってハンマーの先端にセロハンテープで止めてドアを撃ち破ったり(‼)とか、何だか心の琴線に触れる場面が多々ありましたね~。

トールマンは改めて見たら辛気臭いだけでそこまで怖い顔でもないし背がそんなに高いとも思えないのですが、絶妙なタイミングでドアをバーンと開けて「ボーイ‼」と言ってビビらせる登場の仕方(しかもポーズがカッコイイ)はもう最高のテンプレですね。志村けんの「変なおじさん」の登場の仕方もコレをインスパンアしたんじゃなかろうか。

ツッコミどころ満載の映画ですけれども、ようやく全て見る事が出来て幼稚園の頃からずっと引きずっていたトラウマをようやく克服出来たような、そんなスッキリした自分がおります(^^)
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