垂直落下式サミング

名探偵コナン 瞳の中の暗殺者の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
とある事件に関わった刑事が、相次いで射殺されるというショッキングな事件が発生。佐藤刑事が襲撃された際に居合わせた蘭が、暗闇のなかでライトに照らされた犯人の顔を見てしまったショックで記憶喪失に!新犯人の顔と事件の真相を知る彼女は、犯人から命を狙われることとなってしまう。
殺人者がたったひとりの証人の命をつけ狙うという流れであり、古くからあるサスペンスの花形プロットを踏襲している。
特に重要そうではない登場人物であるにも関わらず、なぜかキャラ立ちしていることで容疑者候補に急浮上してくる意外な人物が、案の定やっぱり真犯人っていうアニメならではのお決まりのパターンに陥っている。
事務所の一階の喫茶ポアロって、この頃からあるんだ。ほか、急に深刻な顔したかと思ったらデレる灰原、生死をさまよう佐藤刑事、珍しく少年探偵団の活躍を認める小五郎、大人のお姉さんとデートするコナンくん、都大会女子の部優勝なんて水準でははかれない格闘能力を発揮し、コンバットナイフの刃を真っ二つに叩き折る蘭など、見どころ満載。
小五郎の別居中の奥さん(蘭の母)が出てきてくれてうれしい。女性キャラクターのなかでいちばん好き。インテリでツンデレでカワイイとか、あざとすぎません?
女性が魅力的だったな。ミステリーのミスリードのためだけにいるゲストキャラの美人にも目移りする。青山剛昌の絵で描かれた大人のオンナには、妙な色気がある。 
物語のクライマックスは、原作第一話「ジェットコースター殺人事件」の舞台となったトロピカルランドで繰り広げられるため、ここでも原作と地続きな世界観を感じ取れる。
さらに、ここでコナンが「オメーのことが好きだからだよ。この地球の誰よりも。」って、蘭に言っちゃうっていうズルいロマンチズムが、乙女心をくすぐる。自分の父親じゃなく、毛利のおっちゃんをなぞるのがいい感じ。
他人のなれそめのはなしで、キャッキャウフフと盛り上がりたいよねぇ。「オメーは厄介な難事件なんだよ!」って俺も言いたいもん。なんにも解き明かせてないのに…。実績あるやつが言うべきことですね。