三四郎

チップス先生さようならの三四郎のレビュー・感想・評価

チップス先生さようなら(1939年製作の映画)
4.8
科白良し、俳優良し、女優良し、ウィーン麗し、学園万歳、この映画豪華すぎ!
この作品に出会って本当に良かった!
原作小説よりいいんじゃないか!?

古き良きイギリス。いや、未だに伝統あるパブリックスクールではこのような雰囲気なのかもしれない。
グリア・ガースンはいいエロキューションしてるなぁ。二人が出逢う霧中のシーンがなんとも良かった!それにしてもサンドウィッチちっさ笑

船上からのチップス達の会話
「なぜ〈美しき青きドナウ〉と?これは茶色だ」「伝説があるのさ そう ドナウはある人にだけ青く見える 恋する人だけに… ね?」「Ach so⁉︎」…会話略…そこからカメラはキャサリン達の会話を捉える。
「楽しいわよ 次はウィーンだし 陽気でロマンチックな街」「でもあれね ドナウは青いはずでしょ?」と川面を眺める親友に「ええ 青いわよ」この言葉に親友、耳を疑う笑 コメディ要素も入って最高だ!

優雅、華麗、絢爛 まさにウィーンだ!外国人が夢見る想像のなかのウィーン!
歴史を感じ、ウィーン会議と舞踏会に思いを馳せるキャサリンに「舞踏会の歴史にあまり関心はありません でも自分の事として思い出す あの舞踏会で食事をした あの素敵な女性と…」キザだねぇ!笑 大好きな科白だ!!
舞踏会シーンは全てが完璧にロマンチック!美しき紳士淑女ここにあり。特にグリアの表情は甘くて美しく、瞳はダイヤモンドのようだ。
「(あなたの旅行の思い出教えてあげましょうか) ウィーンで踊るワルツよ」

世界は動いている…か。
「伝統が死ぬのをこの目で見てきた 礼儀も 品性も 歴史への敬意も 今の世の中 金ばかり 学校はまるで工場だ 生徒を機械扱いしてる 学費が上がったせいで 生徒の質も落ちた 近代的教育? 集中教育? ふざけておる! ユーモアを教え くじけない心を育てる 絶対に引退せんぞ!」

「学費が上がり 生徒の質も落ちた」というのは、本来英語ではなんと言っているのだろう?日本語字幕のままだと理解に苦しむ。成金のバカ息子たちが増えたということかしら?

この思い出は いつまでも心の中に…。
オーストリア皇太子が暗殺されるとともに、チップス先生の時代も、そして華麗なる時代も幕を閉じた。チップス先生は良識ある平和主義者。原作でもそうだったかしら?

戦場へ行ったコリーの奥さんの言葉に反戦のメッセージが込められているように思った。
「手紙や電報が来る度に怯えるのはもう嫌です 彼と一緒に暮らすのをよく想像するんです 庭の手入れや 犬の世話… そんな当たり前の日常が 本当の幸せなんですね」

名誉戦死者名簿に記載された名前を読み上げる際、かつての教え子だけでなく、ドイツ人教師で親しかったあのマックスの名前を呼ぶのがまたいいねぇ!これは原作にもあったような気がする!

訪ねてきたコリー少年に「スポンジケーキも」と言い、少年の目線を追い、それから空のケーキ皿。上手い演出だ。時間の経過をサラリとわからせる。

ラストシーンに感動感激感涙!!!
あの帽子に手をやり軽く上げ、名前を言う、あそこのシーン、あのカッコいいキザシーンから、コリー少年のアップ『Goodbye Mr. Chips Goodbye』もう鳥肌立つ感動で目には熱い涙。
凄すぎるよこの映画…あの最後に登場した最後のコリー少年只者ではない!演技力ありすぎ!

書き忘れていたが、汽車での別れ際のグリアのキス、上手いなぁ〜キスの表情が魅力的だ。日本の女優には真似できないよなぁ。やはり、日本映画では接吻しない方がいい。
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