V

ザ・キラーのVのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

初めてフィンチャーの映画をスクリーンで見た

マンク以外フィンチャーの映画は全部見てある上に全然新作出なかったからすごい楽しみにしてた

今までジャンルに縛られずに毎回予測できない展開の異なった色の作品が多かったと思うけど、特にフィンチャーの強みとして冷たさがあると思う
もちろん温かみのある傑作としてベンジャミンバトンもあるけど基本的に冷たい映画が多い

今回の作品は更にそれが磨きがかかっていてめちゃくちゃ冷たい
ソーシャルネットワークの時に感じたこの人はドキュメンタリー調の淡々とした映画を作らせたら右に出るものはいないというのが正しくこれに全て出てた

冒頭のワクワク感と映像の締まり方がすごいし主人公の語りで進んでいく形式はすごい好みだった

映画的な殺し屋じゃなくて現実の殺し屋はこうなんだろうという描写が続いてて、ちょっとした仕草に殺し屋の人間性が現れてて面白かった
でも表現力が高すぎるが故に見る側の読解力がないと全部受け取れきれない気がするし、集中力がある万全な状態じゃないと楽しめないと思った

なんでもないシーンの映し方とか緩急の付け方、少しのことにも意味を持たせてくるのは流石の技量

ただ個人的に冷たすぎて気持ちが乗りにくかったのと山場がそこまで無かったのが気になったかも
でも多分見返す度に好きになっていく気がするし見てる時の心地が良いから見ながら寝ちゃいそう

こういう方向性でテンポが良くて面白くて、演出が完璧ってこの人にしかできない気がする

あと、ザ・スミスで紡がれる劇伴が最高

最後に2つだけ
マイケル・ファスベンダーの顔と声がすごいブラッドリー・クーパーに似てたのとなんかめちゃくちゃ短く感じた
V

V