もうオープニングの音楽とタイトルバックからしてカッコイイ。
主人公(マイケル・ファスベンダー)はプロの殺し屋。
ビルから狙撃するためターゲットが現れるのを延々と待つこと5日。
「この仕事は忍耐力が無くては務まらない」という冒頭の主人公のナレーションを聞きながら、我々観る側も主人公のヨガや買い出しを見せられしばし忍耐力(?)を試されます。
主人公の信条は「常に計画通りに」「誰も信じるな」「感情移入するな」「予測しろ、即興で動くな」「相手を優位に立たせるな」「対価に見合う戦いだけしろ」など。
『怒りの荒野』の“ガンマン10カ条”ならぬ“殺し屋10カ条”(10個もないけど)みたいですが、いや、これは殺し屋にかかわらず、いろんなお仕事に当てはまるかも。
連絡に使ったスマホは全てその場で破棄。銃の手入れも精神統一も怠らない。これまでの仕事で失敗はゼロ。もはや完璧すぎる殺しのプロフェッショナル。
と、用意周到にここまでさんざん引っ張っといて・・・
“狙 撃 失 敗 か ~ い !”
で、ここまでが序盤、このまさかの失敗からがこの映画の本番です。
D・フィンチャー作品は『ゴーン・ガール』まではたまたま全部観てますが、前作の『マンク』は話が面倒臭そうだったのでスルー。
今回は殺し屋の話で期待が持てたので劇場へ。
ネトフリ入ってないから配信観れないし。
殺し屋が雇い主に裏切られて復讐する話はよくありますが、本作は主人公が仕事に失敗したせいで彼女が大怪我、その腹いせ(逆恨み?)で各方面にお礼参りという珍しいパターン。
しかも途中でいろんな人巻き込んで容赦なく殺すし(犬は殺さなかったな)。
これ、プロの殺し屋の作法としてどうなのか・・・
全部自分のミスのせいじゃん?
ファスベンダーが出てる事しか知らずに観たため、後半で“綿棒のような女”という証言をもとに探し当てた女殺し屋がティルダ・スウィントンだったので得した気分。
まるで『ヒューマン・ボイス』のようなスウィントンの一人芝居を堪能できますが、クマの話は私には意味不明。
それなりに楽しめたんですが、作品としてはあまり長く記憶には残らなさそう。