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遺体 明日への十日間のHKのレビュー・感想・評価

遺体 明日への十日間(2012年製作の映画)
3.6
西田敏行氏の訃報に接し、何年もクリップしたままだった本作を鑑賞。
東日本大震災の2年後に公開されたジャーナリストによるルポルタージュの映画化。
震災直後に遺体安置所となった岩手県釜石市の体育館に次々に遺体が運び込まれた10日間がドキュメンタリータッチで再現されます。
やはり報道だけではここまでのことは伝わらないし、この映画でさえ伝えきれていないこともいろいろあるでしょう。
今さらですが、あらためて被災して亡くなられた方々のご冥福を祈らずにはいられない映画でした。

そして、被災地の福島県出身で本作の主演でもある西田敏行氏が急逝されました。
とっくに引退した過去の人ならまだしも、主役こそ減ったもののまだ現役バリバリだと思っていたので急な訃報に驚きました。
76歳ということは団塊の世代か、亡くなるにはまだ早すぎます。

西田敏行を初めて知ったのは私が中学生の頃のTBSドラマ『いごこち満点』。
山岡久乃、高松英郎、山田五十鈴、山城新伍、目黒祐樹、梶芽衣子、小倉一郎、赤塚真人、片平なぎさなど錚々たる出演者の中で西田敏行(当時28歳)だけ当時全く知らない顔でした。
山城の部屋に小倉、赤塚らと居候する後輩の役で渾名が“便所の下駄”。
四角い顔にデカイ眼鏡がちょうど鼻緒のようで、いかにもと言ったネーミング。
圧倒的な福島弁のギャグ連発のインパクトにこいついったい何者?と思った記憶が蘇ります。
初めて見た若手俳優と大ベテランのゲスト森繁久彌との掛け合い(アドリブ?)にも驚き。

その次が同じく高橋玄洋脚本のオールスターTVドラマ『三男三女婿一匹』の婿一匹役。
キャストが大所帯になった分出番の割合は減ったものの、ここでまたも主演の森繁と堂々たるアドリブ合戦(?)を繰り広げ、私の中で西田敏行という存在が確立しました。
この番組で夫婦役だった泉ピン子とは後に『淋しいのはお前だけじゃない』でも夫婦に。
そういえば、このドラマにはタモリも出ていて本人の前で森繁のモノマネしてたなあ。

こうしてみると、私にとってはこの人やっぱり映画よりもTVドラマの人というイメージ。
シリアスな役も渋いんだけど、やっぱり福島弁まる出しのムードメーカー的存在が私には最も印象的でした。
これまで長い間本当にお疲れさまでした。
あらためてご冥福をお祈り致します。
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