冒頭のシーンからもう鷲掴みされました。ああ『裏窓』はこうして反復されるのだ、と。そしてそれはほかでもない快楽を惹起する。車が行き過ぎるたびに、灯りを落とした部屋にゆっくりと光が走るなんて、絵としてもう最高でしょ。
何もかも最高です。人生の下り坂にかかった男の内的独白が続く。しかも殺し屋の。ちょっと長いかな……という絶妙な頃合いに無音劇へと急展開する。そして僕たちは、彼の人生における決定的な瞬間に立ち会うことになる。
静動の緩急が終始心地よい。パリの次はドミニカですからね。ここまで主人公に同化する映画もまたないんじゃないか。
孤独、よね。
なんていうかね、今この瞬間にダブルデッカーバスが突っ込んできて、君のそばで死ねたらどんなに幸せかとね。
そういう瞬間瞬間を、そういう孤独をね、僕もまた生きてるわけなんだな。
最後に頬にピピっと走るチックがね、すべてを語っているのですよ。
殺し屋か……。鉱脈はやはりここか。