風来坊

ザ・キラーの風来坊のレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
3.0
原作はフランスのグラフィックノベルシリーズだそうですが全く知りませんでした…。
こういうのに目を付けるのと相変わらずのオープニングクレジットのこだわりは流石にデヴィッド・フィンチャー監督だなと思いましたね。
更に製作がブラッド・ピットさんの製作会社プランBというのも親交の深さを感じますよね。

そして脚本がゴールデンコンビと言われたアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーさんならハズレは無いと思いましたが…。
孤独な男を表現するためのは分かるが、独り言というか語りが多くて最初は良いのですが段々とうるさく感じてしまって来ます…。
散々と大層な殺しの美学の講釈を垂れて大失敗は皮肉と思うけれど何だかなぁ。

あんまりチャプター形式である必要性は感じなかったし、主人公の言うルールを曲げてまで敵に挑んだ割には尻切れトンボでした…。
決着を付けなかった理由もよく分からない…感情移入するなとあれだけ自問自答してたのに…。「ベイビー・ドライバー」に触発されたかは知らんが、音楽の使い方も効果的とは思えずノイズなだけでした…。

ネオ・ノワールという括りだそうですが、何か重たさがない語りと台詞が多いせいだろうか…。ピット・ブルに追われるところは緊迫感がありましたが、それ以外は淡々としておりそういう演出と分かっていても物足りない…。
監督の変態チックで尖った演出に期待しましたが影を潜めてました。監督の演出というよりは脚本の盛り上げや練りがイマイチだった気がします。

マイケル・ファスベンダーさんのクールに抑えた演技は見事だし、全く面白くない訳では無いのですが、あのヒットメーカーコンビの復活という事で無意識に期待を上げすぎてしまってこんなものかと感じてしまったのはあると思います。
風来坊

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