みむさん

トランスフュージョンのみむさんのレビュー・感想・評価

トランスフュージョン(2023年製作の映画)
3.5
アクション映画ではない。地味だし既視感はあるけど意外とよかった。
SASのスナイパーが家族の悲劇のため退役し、息子となんとか生活していく話。戦争から離れ、優秀なスナイパーとしてのアイデンティティを失った人間のドラマでもある。クライム混じり。

過去と現在の 2 つの異なるタイムラインで交互に語られる。

マット・ネイブルの監督デビュー作。ジョニー役で出演もしていた。
サム・ワーシントン主演、なかなか良い役だった。

戦争の様子と退役後の家庭の様子が描かれるので戦争PTSDに悩む元兵士の社会不適合の話かと予想したがちょっと違う。

家庭に戻って妻不在で脱け殻のようになった父/夫ライアンが息子のために犯罪に手を染めてしまう話。
退役軍人に対するケアや厚生がもっと手厚ければ避けられた悲劇もあったかもしれないが、この映画、それだけじゃないのが辛い。
事故にあった妻と息子、助けるためにはある選択をしなきゃいけないっていう。
タイトルの「トランスフュージョン」がまさにそれだが、それだけではなく終盤にもかかってくる。

勇敢で英雄視されていた父に自分なりに「勇気とは何か」を語る息子ビリーには感心したし、そのエピソードが後に効いてくる。

悲劇を乗り越える父と息子の物語、サム・ワーシントン久々の良いほうの映画。