nekonomachi

ナチスに仕掛けたチェスゲームのnekonomachiのレビュー・感想・評価

4.0
チェスゲームの頭脳バトルを想像していましたが、見終わったあと言葉を失いました…

ナチスに監禁されて人間としての尊厳を剥奪され、唯一の心の拠り所が一冊のチェスの本だったこと。

解放されアメリカへ向かう船旅でチェスの世界王者と対戦中、監禁されていた頃の事がいくつかのきっかけでフラッシュバックする。

暗号を書け!という言葉と棋譜を書け!
という言葉。

拷問される者の悲鳴とカモメが船にぶつかる断末魔の悲鳴。

監禁された部屋と船室の部屋。
酒と煙草と歪んでいく時間。
目の前にいる王者と殺された仲間の顔。

現実と幻覚が交錯し、優しく微笑む妻との船での思い出を失い彼の精神は崩壊してゆく…

シャッターアイランドを思わせる精神世界を映像と音楽とで緻密に描写した秀作ですが、邦題で誤解されてしまうのが残念です。
nekonomachi

nekonomachi