IKUZAGIE

インサイドのIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

インサイド(2023年製作の映画)
2.9
いや〜なんというか、観る人を選ぶ。ほとんどがウィレム・デフォーの一人芝居でアート色が強く、制作サイドも大衆ウケの大ヒットは期待していないと思われる。映画は何を言わんとしているのか…う〜ん。現代アート、特にアーティストが作品を生み出す過程がテーマになっていると思うのだが正直よく分かりません。攻略本無しでロンダルキアへの洞窟をクリアしようとするくらい分かりません。単純に作品を生み出す作家の苦悩を描いているとしても疑問点が多い。
ストーリーを簡単に紹介します。美術品をターゲットにしているある泥棒がニューヨークにあるアート収集家の高級ペントハウスに忍び込むが防犯システムが作動し閉じ込められてしまいます。そのまま外部との連絡は一切取れなくなり、泥棒はアート作品に囲まれた高級ペントハウスで水無し食料わずかというサバイバル生活をすることに…。さて、そんな状況から無事脱出できるのか!という話。ザックリ説明すると「コメディか?」と思える内容ですが、閉じ込められる泥棒役のウィレム・デフォーの演技はなんか超リアルだし、演出もおふざけ無しで多分超マジメな映画。(実は序盤のサバイバルで少し笑ってしまった。)
映画のストーリーにどれだけ関係あるのか分かりませんが、盗もうとした美術作品はエゴン・シーレの絵画で特に自画像を狙ってました。映画が哲学的な内容であるとしたら、エゴン・シーレの作品にも何か意味があるのだろうと思いますが分かりません。劇中でウィレム・デフォーがパンツ一丁になりますが、デフォーの70に近い肉体とエゴン・シーレの作風を重ねているだけだとしたら少々浅はか。んなわけねーか。ちなみにエゴン・シーレは若くして亡くなったオーストリアの画家で、画風はとても特徴的で観る人に強烈な印象を残します。(興味ある方はググってください。)
そのほかデフォーが壁に描いた絵や若い清掃員が監視カメラ越しに見ていたこと、家主との空想上の会話、家主の娘、それらは全部何か意味があるのだろうけど、あっしにはよく分かりませんでした…。分からないことも多いしスッキリする映画ではありませんが、個人的な感想を言えばそれでも割と面白い映画でした。意味が全部分かればもっと面白い映画なのだろう…どなたか解説を!
※旅行中の飛行機にて鑑賞。日本公開されるかは未確認。
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