知り合いの細野晴臣ファンに勧められたので鑑賞。
KADOKAWA JOKER FILMS 朝日新聞
決して軽快な作品ではないから見終えたあとうまく身動きできなくなってしまった。チャリにも乗れなくなり引いて歩いた。長い上映時間に感じたけど、このテンポ感だからこその映画だと思う。例えばもっと早かったらこちらが傷だらけになって倒れてしまいそうだと思った。音楽、観客を信じた独特のテンポ感で、見る人に優しくよりそって、もっとこの映画の時間に浸っていたいと思わせた。
私としてはヒューマンドラマとして、真木よう子がリリーフランキーと遊園地に行くシーンだけでも、良すぎると思っていたのに、その先のサスペンス的伏線回収展開はまさに今泉最高傑作だと思わせた。
人と人はやっぱり分かり合えないっていう真実かつ残酷なメッセージを人間味というもので暖かく包み込んで、しっとりと味わせてくれる作品であったし、それを拡大して本当のことが暴かれる衝撃も本当に大きいものだった。
わかりあうことは、「ずっと前にこんなふうに話せてたら」の「こんなふうに話」すって言うのは、話していくほどに難しいことで、あれはこの作品の根底に抱えている問題の明確な答えではないと思った。けど、こうして言葉にできない何かを私に与えて去っていった、映画だった。
最近の邦画にありがちなぼそぼそとした会話が逆に集中力を刺激して、長い時間の中でも自分の中にすーーっと入ってくる映画だった、ということでこの評価。
探偵のリリーフランキー良い。タバコ屋のおじさんと共にこの映画の良心。
井浦新を見てタバコが吸いたくなる映画。
