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世界の終わりからのganaiのネタバレレビュー・内容・結末

世界の終わりから(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「さがす」の演技も印象的だった伊東蒼を始め俳優陣が頑張っていて終盤までとても良く出来ていたと思うのだけど、最後の最後が所謂デウス・エクス・マキナという禁じ手で「この135分は何だったんだよ?」と冷めた気分で劇場を出る羽目になってしまった😔

幼少期に両親を失い唯一の肉親である祖母も他界して孤立無縁となった女子高生ハナは、戦国時代を思わせる夢の中でユキという少女に出会い一緒に旅する事になるが、その夢は過去から未来に現実に起こる記録(アカシックレコードってやつだ)で、それを密かに守ってきた政府機関からの協力依頼により世界の運命はハナの選択に委ねられる事となった…というお話。

初期のエヴァンゲリオンにジブリキャラをぶっ込んだ新海誠調のセカイ系ヤングアダルト小説を実写化したらこうなるんじゃないかという感じの映画だけど、主人公ハナとそれを取り巻く大人達がなかなか魅力的で結構飽きずに観られた。

メイクも喋りも湯婆婆そのまんまの夏木マリが意外に良かったし、ハナをガードする政府機関の毎熊克哉と朝比奈彩も葛城ミサトを二分割したよなキャラだけど胸熱で好感が持てた。子供を命懸けで危機から守ろうとする大人はカッコいい。

そして何より伊東蒼が良い。アイドル顔でも無いし終始暗い演技ばかりなのだけど存在感が抜群なのだ。

脚本もキャラも借り物なのに魅力的なのは彼らの演技の賜物だろう。

紀里谷和明の作品は色使いが好きになれなくて今まで全く観た事が無かったけど「この世界は守るに値するのか?」を真面目に問う今作の雰囲気は悪くなかったと思う。

でも、超越的な存在が駆け付けて暴力で解決してしまうあのラストは、それまでの主人公の頑張りを蔑ろにするものでやはり納得がいかない。とても残念だった。
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