社会のダストダス

マエストロ:その音楽と愛との社会のダストダスのレビュー・感想・評価

3.6
なんというか邪推してしまうと今年のNetflixのアカデミー賞絶対取ったるぜー!という気合をヒシヒシと感じる作品(笑)、このあざとさが批評家様たちの鼻につかなければいいですけど。ピカソの何が凄いのかを理解できない芸術リテラシーの無い私のような凡人には、なんか良い映画を観た気がするという小並感が残った。

Any question?(何か質問は?)
結局レナード・バーンスタインてどんなことした人だったのでしょうか、凄い指揮者だということは分かった、名前くらいは聞いたことある気がする。全く関係ないが、2回出てくる「何か質問は?」で昔動画で見たアメリカの麻薬撲滅公共広告のCMを思い出した、極めてどうでもいいことだが。

キャリー・マリガンはまだ40手前だったことに失礼ながら驚いた、普通にブラッドリー・クーパーと同じくらいなのかと思っていた。レナードが最初に舞台で指揮をしたのが25歳なら初登場時それくらいの年齢ということか、とてもそうは見えな…いや何でもないです。時代がカラーになってからの経年は分かりやすくて、特に晩年は演技力も相まって同じ人が演じているとは思えないレベル。

クレジットではキャリー・マリガンが先にきているように、どちらかといえば妻のフェリシアの目から見たレナードという内容になるのかな。画面占有率はレナードのほうが高くて、フェリシアは比較的後半まで奥ゆかしい印象。モノクロで描かれる若年期で結婚に至るまであったという葛藤がほとんどすっ飛ばされているのが、少し説明不足に感じてしまった。レナードは晩年になってからだらしない面が強調されるようになったので、匂わせはあったものの急に人が変わったように見えた。

『ウェストサイド物語』に関わった人物だということは、知らなかったので「へぇー」となった。無知の状態で本作を観て理解できる功績はこれくらいだったので、事前にWikipediaでも見て予習したほうが良かったかもしれない。レナード・バーンスタインのサクセス・ストーリーというよりは、ある程度その人物の軌跡を知った上でのパーソナリティにスポットを当てた作品。

ドラマ『ホワイトカラー』がメチャクチャ好きだったので、マット・ボマーを久しぶりに見られて嬉しかった。マヤ・ホークもバーンスタイン夫妻の長女役で登場、『アステロイド・シティ』に続いて踊るシーンがあり、ありがたき幸せにござる。前半がかなり駆け足感あったけど、晩年になってからレナードとフェリシアのお互いの想いが衝突するようになってからは、ドラマとしてはかなり見応えがあった