延々と歩く

マエストロ:その音楽と愛との延々と歩くのレビュー・感想・評価

3.2
 ウエスト・サイド物語を手掛けた天才作曲家レナード・バーンスタインとその妻にかんする伝記映画。既に大スターであるブラッドリー・クーパーが監督・主演・脚本の一部まで参加し作り上げた。

 久方ぶりにネットフリックスに帰還、その一発目に本作を選んだ。その日のうちに見通せたから悪くないのは分かる…けど、個人的にはそんくらいかなあ。

 各方面に話を聞いて「分かる分かるみんなそれぞれ事情があるよね~」となるアプローチは最近の世相にのっとっているのだろうけど、周りに気を使いすぎて結局それで何が言いたいのってなるのは欠点なり特徴として残っている。

 バーンスタイン夫婦がぶつかり合う場面も役者のアップが無いのが不思議で、それこそ同じネットフリックス制作の「マリッジ・ストーリー」ならスター俳優の真ん前にカメラがあるくらいの映像なのに、いまいち演出理由をはかりかねる。文字通り一歩引いた、冷静な作品ってことなのか。

 まあ「内助の功」の神聖視は危険だけどだったら家庭と子育ては全部クソで働いてたらアッサリ幸せになれんのか、パートナーを一人にしぼれない才人にむかって嫉妬まる出しの怒鳴り合いを見せまくって「深い人間ドラマである」とか深刻ぶるのもいい加減あきたしウルサイよね、みたいな気持ちも分からんじゃない。そこに道があるのかどうかは別にして。

 特殊メイクは日本出身で「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」でオスカー像を手にしたカズ・ヒロ氏が担当しており、主人公の基本ベビーフェイスだけど恋愛やら作曲やらに欲望むき出しでどんどんギトついてくのがうまく表現されていた。
 その奥さん役のキャリー・マリガンは、もうこの感じの「演技派」路線でずっといくんだろうなー。こうなるまでに「アン・ハサウェイ的過剰なサービス精神」時代、「やれることは全部やる・見せれるものは全部みせる」路線をみたかったのだが…まあもれなく笑われるスタイルなんで、イギリス出身の演技派はそっちいかんか。
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