延々と歩く

アネットの延々と歩くのレビュー・感想・評価

アネット(2021年製作の映画)
-
 まえに一時間ほど見て面白れぇ~と思いつつ放っておいたのを、時間があるから見直してみたら全然ライドできず最後まで早送りしちゃった。

 子どもの頃に書かされた絵日記などに、月日やお天気のことが空欄になってて自分で埋めていくものがあったけど、「ストーリーを語っていく」のはそういう項目を書き込んでいくようなものかな~と考えることがあって、本作などはそのやり方がどの作品にも似ていないと最初は思った。今回見直してみるとそれも間違っちゃいないけど過去作品からの引用もかなり多いのかな~と。それで勝手にテンション落ちてしまった感じ。

 海外のことは知らず日本の批評界隈の人たちが(と言っても個人的には宇野維正と彼と仲のいいタナソー氏しかチェックしてないけど)「映画の時代の終わり」みたいなことを言っていて、スピルバーグや「ローマ」のアルフォンソ・キュアロンなどが自分と映画史全体の関係を総括をするような作品に進みだしている…と評していて、「アネット」なども正に「最後の映画」という事になるらしい。言われてみればそうなのかな。ラストにふさわしい総集編、ぜんぶ盛りな表現スタイルについてけなかったのか。ぜんぶやらなきゃいけない責任感みたいなものってミーハーなのでつらいんだよな。

 上述したようにラストだけ確認したかったのは、冒頭でも本人役で出ていたカラックス監督の実娘、ナースチャ・ゴルベワ・カラックスがまた登場すると聞いていたからなんだけどこちらの勘違いだった。ラストの子役さん自体は自然な雰囲気を崩さぬままアダム・ドライバーとのミュージカルシーンを演じきっていて驚かされる。歌詞もめっちゃ怖い。
 ナースチャ・カラックスは監督とロシア出身の女優で11年に亡くなったカテリーナ・ゴルベワの間に生まれた一人娘であり、父の前作「ホーリー・モーターズ」でも本人役をやってたけどその時は作品全体と同じくこんなもんかいな~くらいだったが、今回はミュージシャンのクレイロをもう少しダークにしたようなルックスに完全にやられる。これもうオレが見逃すわけない一番好きな方向いってもうとるやん。フランス映画の枠内ではそろそろ大きな役にも付き始めてるっぽいけど日本へ入ってくるかは分からんな~。
延々と歩く

延々と歩く