延々と歩く

シャイニングの延々と歩くのレビュー・感想・評価

シャイニング(1997年製作の映画)
2.9
 スティーブン・キングのベストセラー小説を原作者みずからのてこ入れでドラマ化(全三話)。キングが脚本を担当し、監督は「ザ・スタンド」でも組んだミック・ギャリスがつとめている。

 スタンリー・キューブリックによる映画版が有名だが、あれをキング氏が気に入らなかったのもまた有名であり、悪口いいまくったのちに再映像化を決意、キューブリック側から条件として「映画版への批判はやめて」と言われたというのがおかしい。

 小説家としてのキングはそもそも長く書きがちな人だったのに、「シャイニング」以降よけいにそうなっていくそうだが、どうなんでしょう。その感じはドラマ版にも大いに反映されており、会話シーンの多さ・冗長さにはちょっと困ってしまう。我が本邦における「一を聞いて十を知る」的なものを絶対正義とするのもイヤだが、お国柄の違いには戸惑うしかない。

 正直キューブリック版は観てないんだけど、ドラマ版には「世の中最悪だけどせめて親の愛くらいは残ってほしい」というテーマがあって、それすら信じられないキューブリックとは対立せざるを得なかったのだろう。
 
 キューブリックがキングに電話をかけてきて、「あなたは神様を信じてるんですか」というから「もちろん」と答えると大笑いして分かりましたと通話を切られた逸話も、二人のちがいをはっきり示している。

 まあキューブリック自身は割と子煩悩なイメージだが。そういうのとは別の、ふと目にしてしまった世の中の残酷な現実…みたいな衝撃は彼の作品に通底しており、「シャイニング」のクオリティでも映画版に軍配が上がるだろうと思う。見てませんが。
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