なつこ

マエストロ:その音楽と愛とのなつこのレビュー・感想・評価

3.7
オープニングの、寝室から歩いていきカーネギーホールに出る演出が素敵!

ブラッドリー・クーパーの活き活きした表情は勿論ですが、展開の速さと(前半の時間の経過は特に早いw)説明的なシーンやセリフがなくてもちゃんと分かる構成が心地よい。

「水兵3人のミュージカル」というセリフで「オン・ザ・タウン!」ってワクワクしたし、(その後ミュージカルシーンも観れて楽しかった♡)「ウエスト・サイド物語」を始め、名曲がたくさん使われていて素敵だった〜。

でも想像以上に仕事のシーン、音楽に関わるシーンが少なかった。
あくまでも焦点はフェリシアとの愛の物語。彼女を失ってもなお、2人の物語だった。
まさに、その音楽と、愛と。

レナードの愛は深く、広い。
それは色んな意味を持ち、肯定も否定もしないけど、あんなに聡明で快活だったフェリシアが卑屈になっていくのは見てて辛かった。
彼女がもっとワガママにレナードのすることを嫌だと言う人だったら、ここまで家族が拗れる前に、どうにか出来ただろうか。

でもレナードはずっと変わりなくフェリシアを愛しているし、フェリシアもそれは同じで。
だから、彼に若い子を用意したり、家族の大切な感謝祭に仕事を入れたり、そもそもハリーをマネージャーにしてることに問題があったような気もするけど(個人的見解です)

でも互いをリスペクトする気持ちは途絶えなかった。だからとても深いところで繋がっていて、かけがえのない存在であり続けた。

レナードがクッションを口に当てて、声を塞いで泣く姿がギュッとなった。
どれだけフェリシアを想っているかがあれだけで分かった。

若い頃の2人もキラキラしてて好きだけど、病院の帰りに、若い頃に来た公園で数字遊びをするシーンがとても好きでした。

ラストカット、何気ないシーンだけど、鑑賞後に2人の人生に思いを馳せる入口のようなカットでした。
今も感想を書きながら、描かれていない彼らの生活に想像を巡らせています。
こういう余白をくれる作品は大好きです。
なつこ

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