いかえもん

流転の地球 -太陽系脱出計画-のいかえもんのレビュー・感想・評価

3.8
今話題の「三体」の作者の別の小説「流転の地球」の映像化作品。これは2にあたるのだけど、1はNetflixで配信されてます。1を観てからでもいいけど、こういう地味な作品は上映期間が2週間とか短いので、先にこっちを観に行ってもいいです。なぜなら1の続きではなくて、1の前日譚が2になっているので問題ございません。

1をNetflixで見たときも中国のCG?VFX?すごくなったなーと思ったんだけど、今回のはもひとつすごかった。

1と2を通して、お話は太陽が膨張しすぎてこのままでは地球は太陽に飲み込まれる!それを回避するために地球にいっぱい巨大エンジンを作ってせーの!で吹かせて太陽系を脱出するぞ!って話なんだけど、1ではそこにもう一つ、月は邪魔だから月を地球から離すように月にもエンジンを作るで!ってところが話に盛り込まれている。

で、その宇宙開発にかかわる宇宙飛行士の役がウー・ジンです。2は彼が宇宙飛行士になるところから話が始まる。ここで将来の奥様となる人と出会うんだけど、この恋するウー・ジンがあまりにもかわいいので、ウー・ジンファンの人にはそこがまず見どころ。割と前半はコメディタッチな展開で楽しく見られるところも多いし、アクションシーンもちょびっとだけあります。しかも相手がヴィン・ディーゼルに似ている!

それと、ここでの大きな展開である宇宙エレベーター爆破事件。宇宙エレベーターとは何ぞやといいますと、月にエンジンを搭載するために中継地として宇宙ステーションが作られているのだけど、そこまでは地球からエレベーターで行けるようになっているのです。そして、これを使って太陽系脱出計画が全世界で協力しながら行われているんですが、これに反対する組織がいましてね、デジタル生命という脳内データをコンピューターに取り込んで永遠の命を得ようという組織なんです。こいつらが太陽系脱出派にテロを仕掛けて、宇宙エレベーターが破壊されてしまうという事件が起きるんです。ここらへんの爆破シーン、戦闘シーンは目を見張るものがありました。ここだけで1本映画にできるんちゃうの?って感じ。
なので、この後も話が続いていくのに若干だらだら感を覚える人が多いのかもしれない。私はわりとずーっと退屈せずに見てましたけど、それは1を見ていったからかもしれないなぁと今となっては思う。1は今いる地球の位置から脱出したところから話が始まるので、そこまでどう話が展開するのかなぁって思いながら見てたから、そういう意味では1を観てからの方がいいのかもしれない。

ウー・ジンのパートと並行して、アンディ・ラウのパートがあるんですけど、アンディ・ラウはデジタル生命派です。なぜそうなったかは映画でご確認を。このアンディ・ラウのパートがラストに効いてきて、全部の話が繋がるようになっていますが、そこの説明は難しいし、全部を理解できたわけでもないので省略。

私は割と楽しかったなと思った。SFっていっても砂の惑星とは全然違う話だし、荒唐無稽と言ってしまうのは簡単だけど、70ー80年代の黒電話使ってた時代に今のような一人1台電話兼インターネット端末を持ってる世界が想像できたかって言ったら想像できなかったよね。あの時代にうちのおばあちゃんにそんな話をしたら、笑い飛ばされてたと思う。それを踏まえると、こういう話も簡単に否定はできんよなぁと思う。それと、2044年とかでもスマホなんか?インターネットなんか?と一瞬思ったけど、テレビって大分昔から使ってるし、機能は充実してても今もテレビやん?洗濯機も冷蔵庫も大きくは変わってないよね。それ考えるとこの先の世界でスマホでも、まあそうかもしれないとも思ったり。
そういう細かいところも一瞬気になるけど、まあいっかと思えるくらいに堂々と押し切ってくる熱量のある映画だったと思う。

この太陽系脱出計画っていうの自体が2500年をかけた計画で、何100年をかけてどうのこうの、その後数100年をかけて…って先の長い計画を立てるあたりはとっても中国的だなって思った。

まあとにかく私はウー・ジンが大画面で見られて、かわいくてかっこよくって最高でした!